震災後の台風でドライバーと2人、帰れなくなる・・・後編
山の上の山林茂るホテル付近で、私とドライバーちゃんは行き場を失い、
2人で道路で待機することになる・・・。
空気の読めない店長はすぐおさまるんじゃない?と、無責任な発言・・・。
使えない店長を当てにするわけにもいかず、
ドライバーちゃんと2人、いったいいつ峠が越えてくれるものなのかと、
車についてるテレビのニュースを観ながら、あーだこーだと予想する。
仕事前に買ったジュースのおかげで、口さみしくなることはなかった。
待機してから、1時間が過ぎ・・・。
ちょっと不安になってきた私とドライバーちゃん。
そこでドライバーちゃんがこんなことを言い始める。
「もう一回下の状況見に行きませんか?もしかしたら、何か変わってるかもしれないし。」
ということで、山を下りてみた。
最初は来た道を戻ってみたのだが、前回よりひどい状況になっていた・・・。
あぁ・・・これじゃ通れない・・・。
仕方ないから、反対の方向に車を走らせ、ホテルを通過し、下のほうへ・・・。
お?いけるのか?いけるのか?
何とかいけない事もないということで、道を通ってみる。
道には水があふれていたが、10㎝以下ってところだったので、
車のバッテリーも上がらず、どうにかなりそうだ。
とは言え、こちらの道から帰るとなると、大幅に遠回りすることになるのだが、
贅沢言ってはいられない・・・。
そこで、遠回りルートに切り替え、帰る方法を探りながら、車を走らせた。
しかし、あちこちで浸水ポイントがあり、通行止めになっている個所もあったので、
そう簡単に帰れる感じではなかった。
仕方ないので、コンビニに行き、長期戦に備え、食料等を補給し、
再度、チャレンジ。
もうこうなると、敗戦し、
せめて故郷に帰りたいと願いながら逃走する兵士のような気持ち。
右へ行けば、消防団がいて、通行止め・・・。
左に行けば浸水ポイント・・・。
この間、時々店長と連絡を取っていたが、
助けに行くという割に、どこにいるのかというと、まだ事務所だったり・・・。
ホント使えない店長・・・。
2人で呆れながらも、少しずつ少しずつ、浸水ポイントと通行止めを避けていく。
どこをどう走ったか、とある場所にたどり着く。
また浸水ポイントにぶつかり、半ばあきらめ気味だった私たちに一縷の光が!
なんとそこに消防団の人たちが沢山いて、
しかも、浸水ポイントを土嚢等で地面をかさ上げしていた。
そのため、浸水はしているものの車が通行できるようになっていた。
1人の消防団の人が車に近づいてきたので、窓を開け
「ここ通れますか?」
と聞いたところ、通れると教えていただいたので、
私とドライバーちゃん大喜び!
さらにその消防団の人から、
ここから石巻市内に戻るルートを丁寧に教えてもらった。
これでやっと帰れる;;
戻るルートも判明し、2人で安堵したところに、店長から電話。
「今、向かってるけど、どこにいるの?」
えwもう用ないんですけど・・・
と私とドライバーちゃんは半ば思っていたが
先ほど教えてもらった戻りのルートを話したら、
じゃあそっちに向かうと言って電話が切れた。
用事ないのになんで今更来るんだろうと思いつつも、
車を走らせていたら店長の車と遭遇、そして合流。
しかし合流したからと言って、結局帰りもドライバーちゃんの車に乗っていた私。
結局、店長は心配してる体をとりたかったのだろう・・・。
なんとも・・・人間が小さい・・・。
ということで、私とドライバーちゃんの事務所からスタートして6時間・・・
長い長い戦いはやっと終わった。
市内に戻って気が付いたこと。
戻ってくる頃には、避難勧告が解除されていて、しかも0時を回っていた・・・。
その日の頂いたお金は1万・・・。
行かなくてよかったのではないかと、今でも思っている・・・。